第31回目のテーマは「扇子」です。扇子は持ち運べてさっと広げられいつでも涼しい風を生み出せます。蒸し暑い日本の夏には欠かせない道具です。普通、扇子は竹の骨組みと紙でできています。「要」は骨組みをつなぐ重要な部分です。要がきつ過ぎると開け閉めがスムーズにできず、ゆる過ぎるとぐらついてしまいます。微妙な加減が扇子の使いやすさを左右するのです。骨組みに紙を貼りつければ扇いだ時、さわやかな風が生まれます。扇子はただの涼をとる道具ではなく多様な形で日本文化い溶け込んできました。源氏物語には扇子が何度も登場します。恋人達が逢瀬の後、花の贈り物をのせて交換したり、恥ずかしい時に顔を隠したりしました。扇子は無言のコミュニケーションの道具だったのです。茶の湯の世界でも扇子は重要な役割を果たします。あいさつをする時には2人の間に扇子を横にして置くことで敬意が表されます。扇子は日本の美術の世界にも大きな影響を与えました。17世紀初め、扇絵師だった俵屋宗達が日本の美術史上に残る傑作を生みました。「風神雷神図屏風」です。風神と雷神が左右に描かれ中央に大きな空白があります。当時では珍しい大胆な構図です。よく見ると風神と雷神は中心を起点に放射線上に描かれています。宗達が扇絵のデザインを応用してこの名作を生み出したと考えられます。このように扇子は日本文化の形成にも多大な影響を及ぼしてきたのです。
 
<Typically ・・・ 典型的に、概して>

A is typically Japanees.  ・・・Aはいかにも日本的です。

普通、扇子は竹の骨組みと紙でできています。
Typically,folding fans are made of bamboo ribs and paper.

<A is mentioned in B ・・・ AはBの中で軽くふれられている・登場する>

源氏物語には扇子がしばしば登場します。
Folding fans is mentioned frequently in The Tale of Genji.

<アクセサリー>
アクセサリーは日本では貴金属でできて宝飾類をイメージしがちですが英語のaccessoryは付属品という意味で扇子、手袋、ベルトやメガネなど飾るだけでなく実用的な付帯品も含めた広い言葉です。ネックレスや指輪などをさすにはむしろjewelleryが一般的に使われます。装身具の歴史についてですが日本ではまが玉や髪飾りや帯締めなど和服にふさわしい装身具が発達しました。これに大した西洋では、ダイヤモンドやルビーなどのjewelleryが古くから珍重され発達しました。19世紀、文明開化とともに日本でも洋服にふさわしい西洋の宝飾品が流行るようになりました。同時の英語の表現も輸入されました。その時にアクセサリーという言葉も従来の髪飾り、帯締め、扇子といったものではなく西洋から入ってきたキラキラした宝石や貴金属とイメージが結びついていったのでしょう。